新宿でリモートワーク|作業場所の選び方
新宿はひとつの街ではありません。
駅の名前をひとつ共有しているだけで、実際には性格の違う4つか5つのエリアの集まりです。「新宿は働きにくい」と言う人のほとんどは、そのうちのひとつしか見ていません。
だから最初にやることは、カフェを選ぶことではなく、出口を選ぶことです。
その順番を守れば、新宿はかなり使える街になります。逆にそこを飛ばすと、世界一利用者の多い駅のなかを、席を探して歩き回る午前中が待っています。
難しいのは街ではなく、駅
新宿駅の1日の乗降客数は世界最多クラスと言われます。ただ、実際に効いてくるのは人の多さより構造のほうです。
出口は複数の事業者にまたがって大量にあり、端から端まで地下を歩くと10分から15分かかることも珍しくありません。
つまり、読み違えたときのコストが大きい。東口に出てしまったのに目的地が西側だった場合、道路を渡れば済む話にはなりません。もう一度あの人波に戻ることになります。
改札を出る前に、どちら側かを決めておく。それだけでその日の難易度が下がります。
新宿は、迷っている人には厳しく、片側に腰を据えた人には優しい街です。
西口:高層ビルと、ちゃんとした机
西新宿は超高層ビルのエリアで、都心のなかでもかなり過小評価されている作業ゾーンです。
ビルの中にはホテルが入っていて、このあたりのロビーは広く取られていることが多く、午前中の遅い時間になると静かになります。ただ、座って作業できるのはたいていロビーラウンジで、注文が前提です。値段はラウンジ価格で、時間制限がある店もあります。オフィスビル1階のチェーン系カフェは、昼に一気に回転してそのあと空きます。
駅近のコワーキングスペースの密度が一番高いのもこちら側です。まともな机とモニター、そして騒音との間にドアが欲しいなら、答えは西口。ドロップインと月額の違いについては東京のコワーキングスペースガイドにまとめています。
西新宿のリズムはオフィスのリズムです。9時に埋まり、正午にあふれ、午後半ばには薄くなる。
この波の肩の部分を狙うと、席には困りません。
東口:歌舞伎町と、遅い時間
東口を出ると、多くの人が想像する新宿が広がっています。デパート、歌舞伎町、看板の壁、そして止まらない人の流れ。
日中にここで集中しようとするのは、正直に言って消耗戦です。
ただ東側には、東京のほかの場所がなかなか真似できない強みがひとつあります。終わらないことです。
チームが欧米にいて、通話が夜11時に入るような働き方なら、東側はちゃんと付き合ってくれます。ネットカフェ、深夜営業のチェーン店、24時間の選択肢がこのあたりに集中しています。ただ、どこでも通話できるわけではありません。天井の開いたネットカフェのブースは声が周りに筒抜けですし、深夜のチェーン店も仕事の通話をする場所ではない。店の通話ルールを確かめ、鍵付きの個室がある店舗(快活CLUBなど、一部の店舗にあります)を選ぶか、有料のワークブースを予約しましょう。使い方はカプセルホテルとネットカフェのガイドで詳しく触れています。
トレードオフははっきりしています。静けさを手放して、営業時間を買っている。
夜の2時間の通話ブロックには十分すぎるほど使えて、まる一日の作業には向かない。その線引きを最初にしておくと楽です。
ゴールデン街も思い出横丁もこちら側なので、東口は一日を始める場所というより、終える場所として考えるとしっくりきます。
南側・南東側:静けさの境目
南に歩くと、新宿の圧が驚くほど早くゆるみます。
代々木、千駄ヶ谷、新宿御苑のほうへ向かう通りは、高層ビルから中層の建物へ、小さなカフェへと風景が変わり、別の街のような速度になります。駅からは数分なのに、音の底が明らかに下がる。
実際にこのあたりに住んでいる人が作業しているのも、だいたいこの一帯です。個人経営のカフェは電源があることも多く、ノートPCにも比較的寛容ですが、店頭の表示は一応確認しておくのが安全です。
新宿御苑そのものも使えます。入園料がかかるぶん、人が選別される。天気のいい日なら、都心で屋外の通話をしたり、作業の合間に頭を切り替えたりするのに向いた場所のひとつです。行く前に開園日は確かめてください。毎週月曜は休園(月曜が祝日なら翌平日。春と秋の一部期間を除く)で、10月から3月中旬までは16時30分に閉まります。
新宿に泊まるか、その隣に泊まるか
新宿に滞在するというのは、交通の便にプレミアムを払うということです。それが得かどうかは、どれくらい動く週なのかで決まります。
複数の区をまたいで客先に行く週なら、この立地の価値は本物です。新宿からは乗り換えなしで行ける範囲がとにかく広い。
逆に、ほぼ同じ机と同じ街で完結する週なら、使わない選択肢にお金を払っていることになります。2駅か3駅外に出れば、同じ予算でもっと広い部屋と静かな通りが手に入ります。
エリアごとの比較は東京エリア完全ガイドにまとめています。
問いは「新宿がいい街かどうか」ではありません。「新宿が高い理由を、自分は本当に使うのか」です。
新宿がいちばん強いところ
具体的には3つです。
ひとつは交通。予定が読めない働き方をしていると、これは小さな話ではありません。
ふたつめは遅い時間帯。時差のある相手と働くなら効きます。
みっつめは、全部が一度に揃っていること。コワーキングで数時間作業して、髪を切って、カメラを修理に出して、夕飯を食べる。この一日が電車に乗らずに終わります。
これは、雰囲気のいい街で1週間過ごして、用事のたびに都心を横断してみるまで、なかなか価値が分からない部分です。
弱いところ
判断疲れが起きやすい。選択肢が多すぎて、看板も音も、常に注意を引っ張り合っています。
カフェも宿も、費用は東京の平均よりやや上。極端ではありませんが、積み上がると効いてきます。
そして規模が大きいぶん、徒歩の距離は地図の印象より長い。新宿の「徒歩10分」には、階段と地下道と人混みが含まれていることが多いです。
深い静けさが必要な仕事なら、東京にはもっといい答えがあります。そういう日は東京の静けさマップから考えたほうが早いはずです。
よくある質問
東京での最初の1ヶ月、新宿は拠点として向いていますか。
交通と遅い時間を重視するなら悪くない選択で、静けさを重視するなら向きません。1〜2週間の着地点として使い、街が分かってきたら静かなエリアに移る人も多いです。
新宿駅の近くでいちばん静かに作業できるのはどこですか。
おおむね南側から南東側、代々木・千駄ヶ谷・新宿御苑の方向です。東口から離れるほど音の底が下がります。
新宿でビデオ通話はできますか。
できます。駅周辺は有料のワークブースが東京のなかでも多いエリアです。ブースの仕組みはワークブースとビデオ通話のガイドを参照してください。