渋谷でリモートワーク:ノマドの街ガイド
渋谷は「住む街」より「通う街」として使うのがいちばん機能します。結論から言うとそれに尽きます。
コワーキングの密度、閉店時間の遅さ、あらゆる方向に伸びる路線、そして人に会える機会の多さ。このあたりは本物で、1平方キロあたりで見れば東京でもトップクラスです。
ただし家賃は高く、街は騒がしく、駅前のカフェは午前中のうちに埋まります。何も考えずに行くと、席を探すだけで午前が消えます。
そこで多くのノマドは、1駅か2駅外側に拠点を置いて、渋谷はオフィス街として通う、という形に落ち着きます。これはかなり合理的な妥協で、決める前にその理由を知っておくと迷いません。
渋谷は実際どういう街か
初めて来る人の多くはスクランブル交差点を思い浮かべて、そこで止まります。でも交差点は渋谷の2%くらいの話です。
渋谷は名前の通り谷で、面白い部分はそこから四方に登っていきます。
北西へ進めば宇田川町。小さなレコード店と古着屋が並びます。さらに行くと奥渋谷、通称「奥渋」で、独立系のカフェと飲食店が続く落ち着いたエリアになります。
南と東へ出ると駅の再開発でできた新しいタワー群。いまのコワーキングやオフィスの多くはこちら側です。
西の坂を上って松濤まで行くと、音がほとんど消えます。小さな美術館のある古い住宅地です。
写真で見る渋谷は、ひとつの交差点にすぎません。働ける渋谷は、そこから徒歩10分あたりから始まります。
このイメージと実際のズレを知っているかどうかで、到着してからの動きがかなり変わります。
渋谷で働く
コワーキングに関して言えば、渋谷は東京でもっとも選択肢の多いエリアのひとつです。
駅周辺の再開発でフレキシブルオフィスの供給が一気に増え、競争があるぶんドロップイン料金も都心にしては現実的な水準に収まっています。
主要なチェーンのドロップイン可否や通話ポリシーの違いは、東京のコワーキングスペースガイドでまとめています。
カフェは話が別です。
駅から徒歩5分圏のチェーンは、だいたい午前中の半ばには満席になります。電源のある店はもっと早い。平日11時に渋谷のカフェで作業するのは、不可能ではないけれど賭けです。
解決策は地理です。どの方向でもいいので10分から15分歩くと、混雑は一気にゆるみます。奥渋、桜丘方面、代々木八幡寄りのあたりには、2時間座っていても気まずくならない独立系の店があります。
長時間作業のマナーについては東京のリモートワーク向けカフェガイドで触れています。チェーンより個人店のほうが、この感覚は大事になります。
通話は出たとこ勝負にしないほうがいいです。渋谷は駅ビル周辺に有料のワークブースがそれなりにあります。数百円をケチってベンチでクライアントと話すより、素直に使ったほうが早い。仕組みは東京のワークブースとビデオ会議で解説しています。
渋谷に住むかどうか
多くのノマドが「やめておこう」と判断するのがここです。
渋谷区のマンスリーアパートやシェアハウスは東京でも上のほうの価格帯で、そのわりに部屋は狭い。相場は動き続けるので、どこかで見た数字は出発点として扱って、実際の物件は自分で確認してください。
現実的な着地点は、やはり1駅か2駅外側です。
中目黒は数分で着くうえにかなり静かで、川沿いのカフェ文化は長時間の作業に向いています。詳しくは中目黒エリアガイドへ。
三軒茶屋、代々木上原、代官山も渋谷から数分の距離で、それぞれ利便性を少し手放すかわりに静けさを手に入れています。恵比寿はもっとにぎやかですが、渋谷よりは落ち着いています。
複数のエリアを比べたいときは、東京エリア完全ガイドが横並びで見られて便利です。
交通の使い勝手
渋谷が強いのは、結局ここです。
JR山手線、埼京線、湘南新宿ライン、地下鉄の銀座線、半蔵門線、副都心線、東急東横線と田園都市線、京王井の頭線。これが全部集まっています。
実際の感覚で言えば、新宿まで5分、乗り換えなしで横浜まで30分弱、池袋を経由して埼玉方面まで一本です。
弱点は駅そのもの。渋谷は長年ずっと工事中で、路線間の乗り換え動線が思っている以上によく変わります。最初の数回は余裕を持って、前回の記憶をそのまま信じないほうが安全です。
正直な弱点
音が止まりません。街頭広告、店先から流れる音楽、アナウンス、交通音。音に敏感な人にとって、渋谷でまる一日過ごすのは普通に疲れます。
週末はさらに厳しい。金曜の夕方から日曜まで、中心部は歩くこと自体が億劫になります。眺めのいい席や座れる席には、だいたい列ができています。
コストもじわじわ効きます。コーヒー1杯、ワークブース1時間、ランチ。この3つだけで、20分西に行った街より明らかに速く積み上がります。
これは渋谷がダメだという話ではありません。意識して選ぶ場所だ、という話です。
渋谷が向いている人
人に会うことが仕事に直結する人。歩いて回れる距離にコワーキングの選択肢が欲しい人。夜型で、22時でも街が動いていてほしい人。このあたりは渋谷が効きます。
逆に、一日の大半が集中作業の人、予算を本気で詰めたい人、夜に窓を開けたい人は、別の街を見たほうがいいと思います。
東京に長めに滞在するノマドでいちばん多いのは、静かな場所に住んで、週に2、3日だけ渋谷に出てくるパターンです。人脈とインフラだけ取って、消耗は置いてくる。無理のない形です。
よくある質問
渋谷はノマドの滞在先として良いですか
便利ですが高くて騒がしいエリアです。中目黒、三軒茶屋、代々木上原あたりに滞在して、コワーキングや打ち合わせのときだけ渋谷に出る人が多い印象です。
渋谷のカフェで作業できますか
できますが、平日の午前中の遅い時間帯と週末は駅前を避けたほうが無難です。奥渋や桜丘方面へ10分から15分歩くと、電源付きの席に座れる確率がかなり上がります。
渋谷は東京の他のエリアと比べてどのくらい高いですか
短期滞在の宿泊費で見ると、渋谷区は東京でも上位に入ります。日々の出費も隣接エリアより高めです。価格はよく変わるので、平均値より実際の物件や店舗の情報を確認してください。