Arrive & Settle

東京の台風シーズン、リモートワーカーが本当にやるべきこと

激しい雨が降る人けのない東京の路地。店の灯りが水浸しのアスファルトに映っている

先に結論を言うと、台風が東京に「台風」という言葉から想像するような被害を出すことは、そう多くありません。ただ、丸一日くらいは街を自由に動けなくなる、と思っておいたほうがいいです。

リモートワーカーにとって困るのは、むしろそっちです。風そのものより、行けなくなる打ち合わせ、もう払ってしまったコワーキングの一日、気づいたら消えている飛行機の予約。

台風シーズンを防災ドラマとして構えるより、予定の組み替えの問題だと割り切ったほうが、この時期はずっと楽に乗り切れます。

東京の台風シーズンは、だいたい8月から10月。いちばん多いのは9月であることが多いです。台風ははるか南で生まれて、何日もかけて北へ上がってきます。この記事でひとつだけ覚えて帰るなら、これです。

つまり、ほぼ必ず前もってわかる。三日前、四日前にわかることも珍しくありません。

この街は、ちゃんと前もって教えてくれます。もったいないのは、それを聞き流してしまうことです。

日本語がわからなくても警報を読む

情報のおおもとは気象庁です。ほかのメディアが引用しているのも、たいていここ。英語ページもあるので、必要になる前にブックマークしておきましょう。

数字より先に、言葉の段階を覚えておくと役に立ちます。日本の警戒の段階は、決まった順番で上がっていきます。

「注意報」はいちばん軽い段階です。天気が荒れるかもしれないから気をつけて、くらいの意味です。

「警報」まで来ると、電車の動きが怪しくなってきます。外の予定は考え直したほうがいい段階です。

2026年5月29日からは、「レベル3大雨警報」のように警報の名前に警戒レベルの数字が付くようになり、区や市が出す避難情報のレベルと照らし合わせやすくなりました。レベル4は、危険な場所にいる人全員が避難するめやすです。新しい仕組みでは、このレベル4にあたる「危険警報」が警報と特別警報のあいだに加わり、「レベル4大雨危険警報」のような名前で出ます。滞在先の地域に出たら、そこを離れる合図です。

その上にあるのが「特別警報」。めったに出ませんが、出たときは本当に危ない状況です。とはいえ、特別警報を待ってから動くものではありませんし、家の中にいれば安全とも限りません。台風がまだ数日先にあるうちに、滞在先の住所をハザードマップ(区のもの、または国のハザードマップポータルサイト)で調べて、区の避難情報に従ってください。浸水・高潮・土砂災害の危険がある場所なら、レベル4までにそこを離れます。建物にとどまっていいのは、浸水などの区域の外にある頑丈な建物の上の階のように、建物・階・災害の条件がそろうときだけです。特別警報が出たあとは、移動すること自体が危ないこともあるので、その時点でいちばん命を守れる行動を取ってください。どちらにしても、その日の仕事の段取りはいったん忘れましょう。

スマートフォンも、頼まなくても知らせてくれます。日本の回線につながった端末には緊急速報が届き、音量の設定に関係なく、あの独特の警告音が鳴ります。海外のeSIMやローミングで届くかどうかは端末と回線しだいなので、観光庁監修の無料アプリ「Safety tips」も入れておきましょう。地震、津波、気象の警報を、英語を含む15言語で知らせてくれます。

あの音は故障ではありません。仕組みがちゃんと動いている証拠です。

一日を止めるのは「計画運休」

いちばん大事なのは、計画運休という考え方です。

最近の鉄道会社は、たいてい前日かそれより前に「何時からこの路線を止めます」と発表します。わざと止める判断なので、こちらがどう頼んでも動いてはくれません。

止まるときは、本当に全部止まります。電車が止まり、駅が閉まり、「東京ならどこへでも行ける」という当たり前が、いったんなくなります。

空港へのアクセスは、早めに影響が出がちです。成田や羽田へ向かう路線は、風を受けやすい海沿いを通っているからです。飛行機の欠航も、前もって決まることがよくあります。

見るべきは、ニュース全般より、自分が使う路線の公式サイトです。発表は路線ごとなので、ある鉄道が止まっていても、別の鉄道のことはそれだけではわかりません。

運転が再開しても、しばらくは本数が少なく、ものすごく混みます。予定があるなら、台風の翌朝のほうが当日よりしんどい、なんてこともあります。

三日前からやっておくこと

締め切りのある小さなプロジェクトだと思って動くのがおすすめです。

場所が決まっている予定は、台風の日から外しておきます。対面の打ち合わせ、内見、何かの予約、コワーキングのドロップイン。二時間前に動かすより、二日前に動かすほうがはるかに楽です。

その期間に飛行機に乗る予定があるなら、航空会社の情報を直接チェックして、無料で変更できるうちに早めに動きましょう。様子見をしていると、同じく様子見していた人たちと取り合いになります。

食べ物は当日ではなく前日に。台風が近づいている地域のコンビニは、棚があっという間に空きますし、道路や電車が止まれば配達も止まります。

充電も済ませておきます。スマートフォン、ノートパソコン、モバイルバッテリー、それからしばらく使えないと困るもの全部。

水も一、二本くんでおくと安心です。都心で断水することはめったにありませんが、準備するのにお金はかかりません。

当日、部屋で気をつけること

ベランダに出ているものは、全部部屋に入れます。物干し竿、植木、椅子、物干しラック。強い風の中では、どれも飛んでいきます。東京の建物で、防げたはずの被害がいちばん多く出るのがここです。

窓はしっかり閉めて、鍵もかけます。雨戸やシャッターがあれば下ろしましょう。鍵をかけると窓がサッシにぴったり押しつけられるので、ガタつきや吹き込みが減ります。

風がいちばん強い時間は、ガラスから離れていてください。大きな窓に机をくっつけて座るのは、ほかの日なら何の問題もないんですけどね。この日だけは別です。

半地下や、川の近くの低い土地にいるなら、風より浸水の情報に気をつけたほうがいいです。都市部で現実に怖いのは、短い時間に一気に降る雨で起きる内水氾濫のほうです。

台風の日に働く

正直に言うと、東京の台風の日は、段取りさえ間違えなければかなり仕事がはかどります。

一日中家にいる前提で、それに合う仕事を入れておきます。じっくり考える作業、書きもの、たまった事務作業。まとまった時間が必要で、ずっと後回しにしてきたもの。

ネットはたいてい大丈夫です。都心の固定回線もモバイル回線も丈夫ですが、大雨で一時的に遅くなることはあるので、テザリングできるようにしておくと安心です。

台風の進路に入っているなら、チームには早めに伝えておきましょう。前日に一言送っておくほうが、通話の途中で謝るよりずっとスマートです。海外の同僚は、計画運休というもの自体を知らないことがほとんどですし。

壁の薄い部屋なら、音は覚悟しておいてください。マンションに風が当たる音は、初めてだとびっくりするくらい大きいです。

台風が過ぎたあと

台風が過ぎたあとの空気は、たいていすばらしいです。空がからっと晴れて、光がくっきりして、湿気も一時的に引いて、蒸し暑い晩夏がいきなり過ごしやすくなります。

電車は、数時間ほど様子を見てから当てにしましょう。駅に着いてから調べるのではなく、家を出る前に自分の路線を確認します。

道に落ちているものや壊れた傘には気をつけてください。川や運河は、雨がやんでもしばらく水位が高いままなので、一日くらいは近づきすぎないほうが無難です。

あとは、いつもの一週間に戻るだけ。東京のほとんどの場所で、ほとんどの場合、台風がこちらに求めてくるのは本当にそれくらいです。

よくある質問

東京で台風のとき、避難は必要ですか。

台風の強さより、自分がどこに泊まっているかで決まります。避難の呼びかけは区や市が特定の地域に向けて出すもので、多くは浸水、高潮、土砂災害の危険がある場所です。シーズンが始まる前に、滞在先の住所をハザードマップで調べておきましょう。危ない区域に入っている、あるいは川の近くの半地下や1階にいるなら、どこへ逃げるかを決めておいて、レベル4までに避難します。区域の外で建物が頑丈なら、窓から離れて家の中で過ごすのが、たいていいちばん妥当です。

電車や飛行機は必ず止まりますか。

必ずではありません。ただ、乱れることはあるものと考えて、使う会社の情報を直接確認してください。鉄道は計画運休を前もって発表しますし、航空会社も台風が予報されると変更手数料をなしにすることが多いので、早めに動いても損はほとんどありません。

外に見に行っても大丈夫ですか。

いちばん荒れている時間はやめておきましょう。飛んでくるもの、すべりやすい足元、高い建物のまわりの急な突風が主な危険です。それに、外で見る台風は、窓から眺めるほど絵になりません。