Arrive & Settle

東京を自転車で動く、シェアサイクルとルールと駐輪の話

静かな東京の通りで、古い木造家屋の前に停められた自転車

東京に数週間以上滞在するなら、自転車はおそらく日々の行動範囲を広げる一番効率のいい手段です。

電車より速いから、ではありません。速さでも、8月の涼しさでも、距離でも、鉄道網には勝てません。

自転車が勝つのは別の軸です。2キロから5キロの移動が驚くほど楽になる。そしてそこは、鉄道が最も苦手とする距離帯でもあります。

隣の街のカフェ。どの駅からも徒歩15分のジム。地図で見ればすぐそこなのに、乗り換え2回が必要な友人の家。

そういう場所が、急に近くなります。

まずはシェアサイクルから

ノマドの多くは、自転車を買う必要がありません。シェアサービスで足りてしまうからです。

東京でよく名前が挙がるのは三つ。ドコモ・バイクシェアは、区役所やコンビニの前に並ぶ赤い電動アシスト自転車で、都心部の網が濃いのが特徴です。HELLO CYCLINGは同じくポート型で、ドコモが手薄な一部の周辺区で強さを見せます。LUUPは新しい世代で、小型の電動自転車と電動キックボードを、ビルのエントランスや駐車場の隅にある小さなポートに置いています。

使い方はどれも似ています。アプリに登録し、カードを紐づけ、コードやタッチで解錠して、同じサービスの空きのあるポートに返します。ただ、返し方の細部はサービスごとに違います。LUUPは乗り始めるときに返却先のポートを決め(乗車中に変更できます)、HELLO CYCLINGは到着前に返却先のポートを予約できます。返したらアプリで返却が完了したことを確かめ、返却先が満車なら、アプリで近くの別のポートを探してください。

料金は基本的に、解錠料と分単位の従量課金の組み合わせで、サービスによっては一日パスもあります。料金は変わるので、記事ではなくアプリで確認してください。この記事も含めて。

三つの本当の差は、料金ではなく網の濃さです。どれか一つに決める前に、三つともインストールして、自分が実際に行く二、三か所の周りのポート地図を見てください。

東京で一番いいシェアサイクルは、自分の家の前にポートがあるサービスです。

よくあるのは、二つのアプリを入れておくやり方です。通勤時間帯はポートが空になりがちで、予備があれば、空っぽのラックの前で朝の予定を組み直さずに済みます。

長期滞在なら買う選択肢もある

数か月いて、置く場所も確保できるなら、中古の自転車を買ったほうが、シェアの分単位料金を積み上げるより安く済むこともあります。

リサイクルショップ、街の自転車店、自治体の中古自転車販売あたりが入手先です。前かご付きのいわゆるママチャリなら、数万円の前半あたりが目安になります。

所有には二つ、避けて通れないものが付いてきます。

一つは防犯登録です。法律上の義務で、費用は数百円、通常は購入時に店で手続きしてくれます。書類は必ず保管してください。

東京では警察官が自転車の登録を確認することが実際にあります。自分名義で登録されていない自転車で、購入を示すものも出せない場合、その場のやりとりは長くなります。スマホで撮った画像も助けにはなりますが、カードを持ち歩くほうが確実です。

よくあるのが、帰国する人からSNSなどで自転車を譲り受けるケースです。名義を変えるまで、登録は前の持ち主のままです。譲渡証明書を書いてもらい、身分証と自転車を持って登録できる自転車店で自分の名義にしてください。

もう一つは自転車保険です。東京都では2020年から、自転車利用者に賠償責任保険への加入が義務づけられています。

保険料は安く、旅行保険や借家人保険の特約、クレジットカードの付帯、コンビニや自転車店で買える単独プランなど、入り口はいくつもあります。

想定されているのは、歩道で歩行者と接触するような事故です。重い事案では、賠償額が高額になった例も知られています。

2026年4月からルールが厳しくなった

ここは丁寧に読む価値があります。取り締まりの前提が最近変わったからです。

2026年4月1日から、これまで自動車に使われてきた交通反則通告制度、いわゆる青切符が自転車にも導入されました。16歳以上の利用者は、多数の違反行為についてその場で反則金を求められることになります。

反則金の額は違反の種類によって異なり、数千円から一万二千円程度までの数字がよく紹介されています。具体的な金額は目安として受け取り、最新の警察の案内で確認してください。

旅行者や滞在者が引っかかりやすいのは、特殊な違反ではありません。

スマホを見ながらの運転。信号無視。これには横断歩道の小さな信号も含まれます。路地から道路に出るときの一時不停止。夜間の無灯火。傘差し運転もそうで、反則金は5,000円です。並走や、両耳を塞ぐ音量でのイヤホン。

飲酒後の運転は以前から厳しく扱われています。これは青切符の対象ではなく、従来どおり刑事手続きで扱われます。警視庁は酒気帯び運転の罰則を3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金としています。日本では自転車も法律上は車両です。

ヘルメットは努力義務で、かぶらなくても反則金の対象にはなりませんが、着用が求められている状態です。シェアサービスでもポートで用意されることが増えています。

どこを走るか、歩道はどうなのか

原則は、自転車は車道の左側を、交通の流れに沿って走ります。

歩道を走れるのは標識で認められている場所などで、実際のところ東京では広い歩道を走る場面も多くあります。その場合、歩行者が絶対的に優先で、すぐ止まれる速度で、車道寄りを走るのが決まりです。

東京で自転車に乗る本当の楽しさは、裏道にあります。

幹線道路のあいだにある細い住宅街の道は、ゆっくりで、静かで、小さなものに満ちています。神社、コインランドリー、席が四つしかないパン屋。電車ならまっすぐ通り過ぎてしまうものばかりです。

一方、トラックが走る幹線道路は、まったく別の体験です。多くの人は、そこを避けるルートを自然に覚えていきます。

お金がかかるミス、それは駐輪

これは誰も事前に教えてくれません。

東京で、駅前や商店街、ビルの前に自転車をちょっと置いておく、というのは気軽な行為ではありません。禁止区域は巡回されていて、置かれた自転車は撤去され、自治体の保管所に運ばれます。

取り戻すには、保管所まで出向き、身分証と防犯登録を示し、撤去手数料を払う必要があります。手数料は数千円になることが多く、保管所は置いた場所の近くにはありません。

対策は単純です。駅周辺の地下などにある有料駐輪場を使うこと。数時間で百円程度、最初の数時間は無料という設定もよく見かけます。

シェアサイクルを使っているなら、正しいポートに返す限りこの話は関係ありません。所有よりシェアを選ぶ、静かだけれど強い理由の一つです。

よくある質問

東京で自転車に乗るのに免許や許可は必要ですか。

必要ありません。通常の自転車も電動アシスト自転車も免許は不要です。電動キックボードは別の車両区分で独自のルールがあるので、解錠する前にアプリの規約を読んでください。

海外のクレジットカードでシェアサイクルは使えますか。

たいていは使えます。主要サービスは国際カードに対応していますが、登録に日本の電話番号が必要な場合があります。先に現地の番号やeSIMを用意しておくと、登録でつまずきません。

東京の夏に自転車は現実的ですか。

朝夕の短い移動なら現実的です。8月の日中は本当にきついので、慣れている人ほどその時間帯は電車に回し、自転車は日没後に使います。

最新のルールと反則金については、警視庁の自転車の交通反則通告制度のページが一次情報です。