日本語が話せなくても大丈夫、東京でのヘアカット入門
結論から書きます。日本語が話せなくても、東京で満足のいくヘアカットは十分に受けられます。そして一番効くのは、写真を持っていくことです。
言葉での説明ではなく、写真です。自分の髪質に近い髪型を、角度違いで2〜3枚。
この記事の残りは、その習慣まわりの細かい話にすぎません。
新しい街に来たとき、ヘアカットは不思議な圧力になります。緊急ではないので後回しにされ、そのうち急に限界が来ます。
そして気づけば椅子に座り、すでに動いているハサミの前で「毛先は軽くしたいけれど、トップのボリュームは残してほしい」を言語の壁越しに伝えようとしている、という状況になります。
幸いなことに、東京には価格帯もスピードも幅広い選択肢があり、技術水準はどこでもかなり高いです。
選ぶのは3つのタイプ
東京の店はざっくり3つに分かれます。どの店を選ぶかより、どのタイプを選ぶかのほうが結果を左右します。
クイックカットのチェーン店は、速くてシンプルな選択肢です。券売機でチケットを買い、順番を待ち、10〜15分ほどで仕上がります。
シャンプーもブローも基本的になく、切った髪は吸引ホースで吸い取ります。QB HOUSEが代表格で、主要な駅や商業施設のなかにたいてい入っています。
とにかく長さを落としたい、会話は求めていない、という日には最適です。ほとんど公共インフラのような存在です。
街の理容室は、赤青白のサインポールが目印で、中間に位置します。家族経営で年季の入った静かな店が多いです。
カットにシャンプー、シェービング、蒸しタオルが付いてくることが多く、取引というより小さな儀式のような時間になります。
日本語ができたほうが有利ではありますが、写真と身振りでかなりのところまで進めますし、雰囲気は素直に心地よいです。
**美容室(サロン)**は、髪型にこだわりがあるノマドの多くが行き着く先です。表参道、代官山、渋谷、中目黒、銀座あたりに集中していますが、最近は落ち着いた街にも増えています。
施術時間は長め、カウンセリングがしっかりあり、シャンプー中にヘッドマッサージが入り、顔立ちに合わせた形を考えてくれるスタイリストがいます。
どのタイプを選ぶかは、実のところ「その日の午後をどれだけヘアカットに使いたいか」の選択です。
予約と、アプリが効いてくる理由
クイックカットや理容室なら、飛び込みでも問題ありません。美容室は基本的に予約前提です。
主要な予約プラットフォームはホットペッパービューティーとミニモの2つ。ホットペッパービューティーのほうが規模が大きく、掲載数、写真、料金メニューが充実しています。ミニモは若年層寄りで、アシスタントスタイリストの練習を兼ねた割安メニューが多いのが特徴です。
どちらも日本語のサービスですが、視覚的な情報が中心なので、探すだけならブラウザの翻訳機能でも十分に使えます。基本的にはエリア、日付、価格で絞り込み、あとは写真を見ていく作業です。つまずきやすいのは、会員登録や連絡先の入力がある予約の段階です。そこで止まったら、InstagramのDMや電話でサロンに直接予約しても問題ありません。
意外と使えるのがInstagramです。東京のスタイリストの多くが施術写真を投稿していて、プロフィールに予約リンクを置いている人も少なくありません。
街の名前と「ヘアサロン」「美容室」といった言葉を組み合わせて検索すると、雰囲気を目で確認したうえで選べます。
英語対応を明確に求めるなら、選択肢はありますが料金は高めになりがちです。広尾、麻布、六本木、渋谷の一部など、外国人居住者が多いエリアには英語対応を掲げるサロンがあります。
希望の伝え方
ここで写真が本領を発揮します。
行く前に参考画像を3〜4枚保存しておきましょう。理想は、気に入っていた頃の自分の髪の写真を1枚と、なりたい髪型を正面と後ろから写したものを1〜2枚。
東京のスタイリストはこの方法に慣れています。変に思われることはありません。
メモアプリに入れておくと便利な言い回しもいくつか挙げておきます。
- 短くしてください
- 少しだけ切ってください
- すいてください(毛量を減らしたいとき)
- 前髪
- 後ろ
- このくらい(指で幅を示しながら)
長さはセンチ単位で話されることが多いので、「何センチ切りたいか」をざっくり決めておくと、形容詞よりずっと伝わります。
ひとつだけ本気の注意点があります。強いカールや縮毛など、テクスチャーのある髪質の場合、どの店でも対応できると考えないほうがいいです。
東京のスタイリストの多くは直毛のアジア系の髪を中心に技術を身につけており、カットの考え方そのものが異なります。
くせ毛やカーリーヘア専門のサロンは東京にもあり、数も増えていますが、これは近所の店に飛び込むより、事前に特定のスタイリストを調べておく価値がはっきり高いケースです。
費用と流れの目安
価格の幅は大きいので、以下はあくまで目安として受け取ってください。
クイックカットのチェーンが最も安く、ちょっといいランチくらいの感覚です。街の理容室はその中間。美容室はスタイリストの経験やエリアによって中程度からかなり高額まで幅があり、カラーやトリートメントを加えるとさらに上がります。
サロンのメニューは項目ごとに分かれているのが普通で、カット、シャンプー、カラー、トリートメントがそれぞれ別料金です。何が含まれているかは同意する前に確認しておきましょう。トリートメントひとつで会計が倍近くなることもあります。また、ホットペッパービューティーのクーポン価格には「新規」(初回来店のみ)と書かれたものが多く、気に入って2回目に行くと、最初に見た値段より高くなることがあります。
日本にはチップの習慣がなく、サロンでも同じです。表示された金額がそのまま支払額になります。
キャッシュレス対応は進んでいますが、小規模な理容室や古い店では現金のみのこともあるので、少し持っておくと安心です。
気持ちよく過ごすための小さなこと
時間には正確に。サロンの予約は詰まっていることが多く、スタイリストは連続で入っています。
シャンプーは想像より丁寧です。顔に薄いガーゼをかけられることがありますが、これは快適さのための普通の作法です。
ドリンクを出してくれる店や、雑誌を置いている店も多いです。サロンなら、ひと声かければ待ち時間にノートパソコンを開くのはたいてい問題ありません。ただしカット中は難しいです。
仕上がりに違和感があれば、椅子に座っているうちに伝えましょう。その場なら直すのは簡単ですが、後からだと気まずくなります。スタイリストとしても、不満のまま帰られるより直したいはずです。
そして、いい人に出会えたら名刺をもらい、帰る前に次回の予約を取っておくこと。人気のスタイリストはすぐ埋まります。戻れる相手が決まっているだけで、東京にいるあいだこの悩みは丸ごと消えます。
髪を切りに行きつけの店ができると、新しい街は驚くほど早く「仮住まい」ではなくなります。
よくある質問
予約は必要ですか。
クイックカットのチェーンや多くの理容室は不要です。美容室はほぼ必須で、人気スタイリストなら数日前から埋まることもあります。予約はホットペッパービューティーかミニモが一般的です。
英語は通じますか。
国際色の強いエリアや、英語対応を掲げるサロンでは通じます。それ以外では期待しないほうが無難です。写真といくつかの定型フレーズでほとんどの場面は乗り切れますし、足りない部分は翻訳アプリで補えます。
くせ毛やカーリーヘアに対応した店はありますか。
あります。数も増えていますが、近さで選ぶのではなく専門店を探す必要があります。ポートフォリオにテクスチャーのある髪の施術例を載せているスタイリストを探し、予約前に自分の髪質に対応できるかメッセージで確認しておくと安心です。