東京の朝シフト、街が動き出す前に働くという選択
東京でいちばん静かで、いちばん席を取りやすい時間。それは、たぶんいまもカレンダーの中で空いたままになっています。だいたい朝6時から10時までです。
この時間を、多くのリモートワーカーは使っていません。コワーキングはまだほとんど開いていないし、カフェも閉まっていると思い込んでいる。それで一日が10時に始まって、ほかの誰かも狙っていた席で、もう人でいっぱいの店の中で仕事をすることになります。
でもその時間、街はもう動き出しています。混ぜてもらわない手はありません。
東京は「夜が長い街」というより、「朝が早くて、夜も閉めない街」に近い。
東京で朝に働くと捗る理由
東京は通勤の時間割で動いている街です。そのおかげで、9時前の人たちに向けて開いている店がとにかくたくさんあります。
コーヒーチェーンが朝早く開くのは、会議の前にひと息つきたい会社員がいるから。駅のパン屋は7時にはもう開いていて、公園では6時半からストレッチをする人がたくさんいます。
どれもリモートワーカーのために用意されたものではありません。でも、そのまま使わせてもらえます。
もうひとつ、もっと単純な理由もあります。午後2時にはまず座れない席が、6時から9時のあいだなら普通に空いているんです。
学生も、ほかのノートパソコン組も、ランチの混雑もない。窓際の席も電源も、取り合わずに確保できます。
それに、クライアントやチームがヨーロッパにいるなら、朝の時間はまるごと自分のものになります。東京の朝はヨーロッパの真夜中なので、向こうからの通知はほとんど来ません。アメリカは反対です。東京の早朝はアメリカ西海岸の午後、東海岸の夕方にあたるので、相手がアメリカなら、朝こそ会議やメッセージが集中する時間です。
9時前にどこに座るか
いちばん頼りになるのは、昔からある日本のコーヒーチェーンです。ドトール、エクセルシオール、ベローチェ、コメダ、カフェ・ド・クリエあたりは、7時から8時のあいだに開く店舗が多く、大きな駅ならもっと早いこともあります。
それに多くの店には「モーニング」があります。トーストと卵とドリンクが、10時か11時ごろまでお得なセットになっている、あれです。
モーニングは、ただの割引というより日本の朝の文化だと思っておくといいです。朝のお客さんは食べて、少しのんびりして、一日が本格的に始まる前に出ていく。そういう前提でできているので、こちらにとっては好都合です。
ただし、営業時間はチェーン全体ではなく、行く店舗ごとに確かめてください。開店時間は店ごとに決まっていて、駅前の店と住宅街の店では1時間以上違うこともあります。
次のおすすめは、ホテルのロビーです。ここは意外と使われていません。
ロビーにカフェやラウンジがある宿に泊まっているなら、7時にはたいてい開いていて、ほとんど人がいません。椅子も、どのチェーンよりいいはずです。
大きめのホテルだと、泊まっていない人にも朝食やラウンジの利用を販売していることがあります。確実に座れる席と、ちゃんとした朝ごはんを一度に手に入れられるなら、悪くない選択です。
三つめは、そもそも閉まっていなかった場所です。ネットカフェやコンビニ、一部の24時間営業のコワーキングやファストフード店は一晩中開いていて、夜明けごろがいちばん空いています。
7時に通話があるのに静かな部屋がない、という日はネットカフェも使えます。ただ、ブースは選んでください。ふつうのブースは天井が開いていて、声がフロアじゅうに聞こえてしまいます。店の通話ルールを確かめて、鍵付きの個室(快活CLUBなど、一部の店舗にあります)を頼むか、有料のワークブースを予約しましょう。
朝に使える公園
東京の公園は、8時前がいちばん気持ちいい時間です。ここまで来ると、早起きは仕事の効率のためだけの話ではなくなって、この街にいたくなる理由に変わってきます。
皇居のまわり、代々木、砧、駒沢、それに大きな川沿いの道は、朝早くからランナーや散歩の人、ラジオ体操のグループでにぎわいます。誰かと話す必要はないけれど、まわりにちゃんと人がいる。その感じが、ちょうどいいバランスです。
うまくいきやすいのは、こんな流れです。集中して1時間働いて、外に出て30分。ほかのみんながログインしてくる前に、机に戻る。
同じ休憩でも、午後3時より朝7時のほうがずっと効きます。
避けたほうがいいこと
朝7時40分ごろから9時までは、街を横切って移動しないでください。
東京のラッシュアワーは時間どおりに回っていますが、本当に混みます。パソコンの入ったバッグを抱えて都心へ向かうと、せっかく朝につくった静かな時間が台なしになるくらい疲れます。
対策は簡単です。寝ている場所の近くで働くか、7時半より前に移動を済ませる。通勤の流れと逆向きに1駅か2駅乗るだけでも、思った以上に楽になります。
朝のコンビニのイートインも、少し気をつけてください。カウンター席がある店もありますが、さっとコーヒーを飲むためのもので、2時間作業するための場所ではありません。その時間はスタッフも品出しで忙しくしています。
朝型を習慣にするには
正直、難しいのは席を見つけることではありません。起きることです。
着いたばかりなら、時差ぼけのおかげで、早起きがいちばん楽にできる時期です。無理に戻そうとせず、利用してしまいましょう。
アメリカから来ると、数日は朝5時に目が覚めてしまうことが多いです(ヨーロッパから来た場合は逆で、夜に寝つけず朝起きられない、となりがちです)。無理に普通の生活リズムに戻すより、先に朝の仕事時間を決めて、残りの一日をそのまわりに組み立てていく手もあります。
もう体が慣れているなら、もう少しゆるいやり方のほうが続きます。週5日がんばるより、週2日の朝だけ決めて、そこに本当に大事な仕事を入れる。
東京の朝を使うのは、働く時間を増やすためではありません。街がいちばん場所を空けてくれる時間に、自分のいちばん調子のいい時間を持ってくるためです。
よくある質問
東京のカフェは本当に8時前から開いていますか。
開いている店は多いです。特に駅の近くにある昔からの日本のチェーンですが、営業時間は店舗ごとに違います。個人のカフェやスペシャルティコーヒーの店はチェーンより開店が遅いことが多いので、行く前に確かめてください。
モーニングの時間にパソコンで仕事をするのは失礼ですか。
チェーンのカフェなら、たいてい問題ありません。そういうお客さんに慣れています。パソコンや通話についての貼り紙があれば従って、通話は席ではしないこと。個人のお店では、もう少し控えめにしましょう。
ヨーロッパとの通話がある場合、朝はどう組むといいですか。
東京の朝は、ヨーロッパの時間とほとんど重なりません。だからこそいいんです。6時から10時は会議を入れずに集中する仕事にあてて、ヨーロッパの相手とその場で話す必要があることは、夕方から夜にまとめてください。