Work & Stay

東京の文房具店、リモートワークを静かに良くするアナログの道具

手書きの文字の上に並べられた色とりどりの万年筆

東京での一日がノートパソコンの中だけで終わっているなら、いちばん安上がりなアップグレードは、たぶん近所の店で買えるノートとペン一本です。

効率化の仕組みとして使う必要はありません。画面とは別の、もうひとつの置き場所として持つんです。

東京は、そういう紙の道具を買うのに世界でもかなり恵まれた街です。しかも文房具店そのものが、お金も気力もほとんど使わずに画面から離れられる休憩場所になります。

ひと目でわかるまとめ

項目ポイント
値段本当に書きやすいゲルインクのペンでもたいてい数百円、しっかりしたノートも数千円台で手に入ることが多い
まず行くならロフトやハンズのような大型店の文具フロア。たいてい試し書き用の紙がある
専門店銀座の伊東屋(G.Itoya)、新宿の世界堂本店
オーダーノート蔵前のカキモリ
消耗品バラエティショップや100円ショップで十分
小さなセットA5かB6のノート(方眼かドット罫)、本当に気に入ったペン一本、付箋を何種類か、領収書や書類用のフォルダ一つ
飛行機万年筆は空にするか、ほぼ満タンにして立てて運ぶ。ボトルインクは液体として扱われる

デジタルで働いても、紙が役に立つ理由

リモートワークでは、何もかもが一枚の画面に集まってきます。

計画を立てるのも、作業するのも、話すのも、気をもむのも、全部同じ光る画面の中。長い一日がなんとなくのっぺりして感じられるのは、そのせいもあります。

紙を一枚足すと、そのあたりを手元で分けられます。

ノマドの多くが落ち着く分け方はシンプルです。画面には仕事そのものを、紙には仕事について考えていることを置く。

明日やることを三つ。クライアントの業務の流れをざっくり描いた図。次の打ち合わせで聞きたいこと。

どれも同期は要りません。手がほかのことでふさがっているあいだ、目に入るところにあればいいんです。

ノートの目的は、より多くを保存することではありません。そのつどタブを開き直して確認してしまう、ごく少数のことを手元に置くことです。

時差をまたいで働く人には、もうひとつうれしいことがあります。

打ち合わせが夜に寄って、午後がなんとなく過ぎていく日。その日の段取りを書いた紙が一枚あるだけで、どんなアプリよりも「自分で回せている」感覚が持てます。

東京の文房具が少し違うところ

日本の文房具には、はっきりした考え方があります。毎日使う道具は、一度驚かせるより、何百回使っても気持ちいいほうがいい、というものです。

その違いは、一週間も使えばわかります。

薄い紙でも裏抜けせず、すっと書けるペン。手首に逆らわず、ぱたんと平らに開くノート。どれも同じ紙ではなく、書く用途に合わせて選ばれた紙質や罫線。

値段の幅も広いです。本当に書きやすいゲルインクのペンでもたいてい数百円、しっかりしたノートも数千円台で手に入ることが多いので、気軽にいろいろ試せます。

文房具店の種類

東京の文房具店は、店名で覚えるより、いくつかのタイプに分けて考えると迷いません。

デパートやライフスタイル系の文具フロア。 ロフトやハンズのような大型店で、駅直結のビルの上の階にあることが多いです。品ぞろえが広く、ひと目で全体を見渡せます。何がほしいかまだ決まっていないなら、まずここへ。たいてい試し書き用の紙が置いてあります。

専門の文具店。 銀座や新宿には、この階は紙、この階はペン、というように何フロアも文房具が続く大型店があります。銀座の伊東屋(G.Itoya)や、画材に強い新宿の世界堂本店が代表的です。商品にくわしいスタッフがいて、気づけば一時間たっています。

街の紙もの・オーダー系の工房。 蔵前のあたりは、カキモリのように表紙や紙、綴じ方を選んでノートを作ってもらえる小さな店で知られるようになりました。買い物というより午後の過ごし方のひとつで、雨の日の予定にもちょうどいいです。

量販店と100円ショップ。 替芯や付箋、クリアファイルのような地味な消耗品は、バラエティショップや100円ショップで十分です。全部をいいもので揃えなくてもかまいません。

神保町のような古本屋街では、本屋の並びにひっそり文具の棚があることも多く、二つの用事をまとめて済ませられる散歩コースになります。

持ち歩ける小さな文房具セット

いい文房具店に行くと、つい道具を一式そろえたくなります。

でも、スーツケース暮らしで最後まで残るのは、もっと小さなセットです。

ノートはA5かB6がちょうどいいところ。図を描ける大きさがあって、デイパックに入れっぱなしにできるくらい小さい。文字と図を両方書くなら、横罫より方眼やドット罫のほうが使い回しがききます。

本当に気に入ったペン一本は、なんとなく使っている四本に勝ちます。気候や高度の違う土地を行き来するなら、万年筆よりゲルインクや油性のボールペンのほうがトラブルが少ないです。

あとは付箋を何種類かと、領収書や在留関係の書類をまとめるフォルダを一つ。日本で働きながら暮らすなら、たいていこれで足ります。

明日使うものを買う。ふさわしいプロジェクトのために取っておいた美しい道具は、だいたいそのまま取っておかれます。

バッグ一つで暮らしているなら、重さには少し気をつけてください。紙は見た目より重く、文房具好きは身軽な荷物がいつの間にか重くなっている、よくあるパターンです。

店に寄って気分転換する

こうしたお店には、何も買わない使い方もあります。

文具フロアは静かで明るく、予約も要らず、誰かと話す必要もありません。

集中が切れてしまったけれど、またカフェに座る気にはなれない。そんな日に二十分ほど売り場をぶらぶらすると、思った以上に頭がすっきりします。

散歩にちょっとした目的ができるのもいいところです。短い用事に、知らない街を抜ける少し長めの道を組み合わせる。ただ歩くだけ、用事を済ませるだけより、このほうがうまくいくという人は多いです。

ペンを試して、紙を眺めて、何も買わずに仕事に戻る。

よくある質問

東京で文房具を買うのに日本語は必要ですか。

ほとんど要りません。

商品は見ればわかるものが多く、試し書きの紙もよく置いてあるので、誰にも聞かずにペンを選べます。大きめの店なら簡単な英語で対応してもらえることも多いですし、替芯なら使い終わったものを持って行って指させば通じます。

日本の文房具は高いですか。

ものによって、かなり幅があります。

普段使いのペンやノートはほかの国と比べても手ごろですが、オーダー品や限定品になるとかなり値が張ることもあります。手ごろな価格帯でも品質がしっかりしているので、気持ちよく使えるものを選ぶのに大金をかける必要はあまりありません。

万年筆やインクは飛行機に持ち込めますか。

万年筆は気圧の変化でインクが漏れることがあるので、空にするか、ほぼ満タンにして立てた状態で運ぶ人が多いです。

ボトルインクは液体として扱われ、機内持ち込みの液体ルールが適用されます。出発前に、利用する航空会社と空港の最新ルールを確かめておくと安心です。