六本木にノマド滞在するなら:英語で暮らせる代わりに払うもの
六本木を拠点に選んでいいのは、仕事を英語でしていて、予算にあまり縛られていない人です。どちらかが当てはまらないなら、東京のほかの街を選んだほうがたいてい得をします。
判断としてはこれだけなんですが、なんとなくではなく、ちゃんと考えて決めてほしい街です。六本木は、来たばかりの人がいちばんよく勧められて、3週間後にいちばん後悔されやすい街でもあるからです。
この街ならではの特徴は、集まっているものの顔ぶれです。大使館、外資系企業、インターナショナルスクール、そしてそこで働く人たち。これだけまとまって集まっている場所は、東京のほかにはありません。
高くても住む人がいる理由

六本木では、英語はわざわざ対応してもらうものではありません。窓口でも、クリニックでも、ジムでも、不動産屋でも、英語で話すのが当たり前になっている場所がかなりあります。
半分しか分からない言葉で請求トラブルを説明しようとして、午後がまるごとつぶれた経験があれば、ここに高いお金を払う人の気持ちも、それで納得している理由も分かるはずです。
街の中心には、六本木ヒルズと東京ミッドタウンという2つの大きな複合施設があります。オフィスに飲食店、映画館、クリニック、それに静かに座っていられる屋内のスペースまでそろっている。雨の火曜日には、これが思った以上にありがたいんです。
美術館が多いのも、東京では珍しいところです。森美術館、サントリー美術館、国立新美術館が歩いて回れる距離にあるので、のんびり過ごしたい午後の行き先に迷いません。
六本木は、こちらに合わせることを求めてこない街です。それが魅力で、何か月か暮らすと物足りなさにもなります。
ここで働く

六本木のコワーキングは、法人向けの色が濃いです。受付にスタッフがいて、会議室と電話ブースがあって、値段もそれなりに高い。東京の中でも高いほうだと思っておいてください。
ただ、払うだけのものはあります。一人で黙々と作業するより、クライアントとの通話が多い週なら、ここの設備はまさにそのためにできていますし、まわりの人も同じような働き方をしています。
カフェはたくさんありますが、混む時間帯はパソコン作業には向きません。お昼の客はほとんどがビジネスパーソンで、店も回転を気にしているからです。狙い目は、午前の遅めの時間と、午後の中途半端な時間です。
意外と使われていないのが、ホテルのロビーや大型施設の上の階にあるラウンジ。コーヒーを1杯頼めば宿泊していなくても座れる場所が多く、カフェよりずっと静かです。
日常は六本木ではなく、麻布十番で起きる
ここは、たいていのガイドに書かれていないところです。
六本木そのものは、オフィスと美術館と夜の街。ふだんの暮らしがあるのは、少し南へ歩いた麻布十番のほうです。ちゃんとした商店街があって、小さな店やパン屋が並び、生活のこまごましたことはここで片づきます。
何週間か以上いるつもりなら、麻布十番まで気持ちよく歩けるかどうかで、この街を好きになれるかが決まります。部屋を探すときは、六本木交差点ではなく、麻布十番に歩いて行けるかを基準にしてください。
西の広尾も同じような役割の街で、長く住んでいる外国人の多くは、実際にはこのあたりで暮らしています。タワーが並ぶ一帯より落ち着いていて、緑も多く、少しだけ安めです。
交通:JRの駅がない

六本木にはJRの駅がありません。
通っているのは東京メトロ日比谷線と都営大江戸線。六本木一丁目には南北線、麻布十番には南北線と大江戸線が通っています。
これが、思っている以上に効いてきます。ふだん山手線を使う生活なら、六本木はなんだか行きにくい場所に感じられて、乗り換えに時間を取られます。
反対に、日比谷、銀座、恵比寿や大江戸線沿いが行動範囲なら、とても便利です。
契約する前に、自分の1週間の動きと照らし合わせてみてください。この街への実際的な不満でいちばん多いのがこれで、しかも事前に確かめれば防げるものです。
どのくらいお金がかかるか
六本木の家賃は、狭い部屋でも東京でトップクラスです。外国人向けのサービスアパートになると、さらに上がります。ランチも平均よりかなり高く、コワーキングも同じです。
具体的な金額は、この記事に出てくるものも含めて、見積もりではなく、だいたいの幅くらいに受け取ってください。はっきり言えるのは、同じ広さなら東京のほかの拠点よりはっきり高くつく、ということです。
それでも割に合うケースはあります。住居費を会社が出してくれる。あるいは収入が強い通貨で、お金より時間のほうが惜しい。そういう人にとっては、高い分だけ面倒が減るので、払う意味があります。
割に合わないケースもあります。一人でパソコンに向かうだけなのに、六本木の家賃を払っている。中野や蔵前なら同じ仕事がずっと安くできるのに、です。そうなっているなら、一度考え直してみてください。
夜の客引きとぼったくりに注意
六本木は昔から、夜になると交差点のあたりにしつこい客引きが出ること、それに事前に聞いた話と会計が合わない店があることで知られています。この地域の一部の店のやり方について、これまでにいくつもの大使館が注意を呼びかけてきました。
だからといって、住むのに危ない街というわけではありません。昼の六本木はただのオフィス街で、何年も何事もなく暮らしている人はたくさんいます。
路上で声をかけられてもついていかない。店は連れて行かれるのではなく、自分で選ぶ。この2つを習慣にしておけば十分です。この街を避けるほどの話ではありません。
別の街を選んだほうがいい人
できるだけ安く暮らしたいなら、六本木は選ぶべき街ではありませんし、うまい抜け道もありません。
毎日の暮らしで日本らしさを感じたいなら、この街の国際色の濃さは逆効果です。谷中や高円寺のほうが、安いうえに、その空気をたっぷり味わえます。
一人で静かに作業するのが仕事のほとんどなら、使いもしないビジネス向けの設備にお金を払うことになります。
よくある質問
六本木はデジタルノマドに向いていますか。
向いている人もいます。英語で仕事をしていて、会社員に近い時間帯で動いていて、都心の値段を払える予算がある人です。予算を気にする個人のワーカーにとっては、東京の中でも選びにくい街のひとつです。
六本木は東京のほかの街と比べて高いですか。
はい、どの面でも高いです。家賃もランチもコワーキングも東京の平均を上回り、外国人向けの物件ではその差がさらに広がります。浅草、秋葉原、中野あたりなら、同じくらいの広さでかなり安く済みます。
六本木に住むのに日本語は必要ですか。
東京のほぼどの街よりも、日本語がなくても困りません。このあたりのサービスの多くは、最初から英語で対応しています。便利なのは確かですが、そのぶんほかの街で暮らすより日本語はずっと身につきにくくなります。