下北沢でリモートワーク:磨かれていないことが価値になる街
大きなターミナルのごちゃごちゃした感じには疲れる。でも、どこか個性のある場所に住みたい。そんな人が東京で拠点を探すなら、下北沢はかなり好きになりやすい街です。
渋谷からは京王井の頭線で数駅、新宿からは小田急線ですぐ。どこへ出るにも早いのに、街に入ると空気ががらっと変わります。
道は細く、建物は低く、車より人のほうが優先されているような雰囲気がある。古着のラックとコーヒーカウンターのあいだを、みんななんとなくぶらぶら歩いています。
ここを拠点にした人は、だいたい同じことを言います。仕事はちゃんとはかどるのに、街の活気をずっと感じていられる、と。
地元で「下北」と呼ばれるこの街は、昔から古着と小劇場とライブハウスの街でした。その空気は、いまも普段の暮らしのなかに残っています。
古いデニムが並ぶ棚、間口の狭いレコード屋、リビングくらいの広さのステージ。リモートワーカーにとっての魅力は、どれか特定の店というより、街全体の空気のほうです。のんびりしていて、ちょっと雑然としていて、ちゃんと人が暮らしている。
いい作業場所のある街は、カフェの数が多い街のことではありません。午後をまるごとふらふら過ごしても、いい一日だったと思える街のことです。
働く毎日に向いている理由

下北沢は、仕事と散歩の境目があいまいなくらいが心地いい人に向いています。
駅周辺の再開発でできたBONUS TRACKやreloadには、小さな個人の店やカフェ、シェアスペースがまとまって入りました。それでいて、街らしさはちゃんと残っています。
だからノートPCを開ける場所も、チェーン店がずらっと並ぶのではなく、小さな部屋があちこちに散らばっている感じです。
狙い目は朝です。
個人のコーヒー店の多くは早くから開いていて、買い物客が増える午後までは静か。集中する時間をしっかり確保できます。
夕方近くになると、通りは古着を見て回る人でいっぱいになり、街全体がにぎやかになっていきます。ここではかどるかどうかは、このリズムをつかめるかでほぼ決まります。朝は集中する作業、昼は用事と通話、日が落ちたらゆるい時間。
正直に書いておくと、下北沢には、静かで広い予約制のワークスペースはあまりありません。
小さめのカフェや気軽なカウンターが中心なので、多少にぎやかでくだけた場所でも作業できる人向きです。
一日中ビデオ会議が続くような人なら、コワーキングはほかの街で契約しておいて、下北沢は会議の合間の拠点として使うほうがうまくいきます。
どこで働くか
カフェはとにかく多く、しかも一本通りを変えるだけで雰囲気が変わります。
駅の近くは再開発でできた新しいエリアで、天井が高くておしゃれなカフェが多め。ランチどきを外せば、ノートPCを広げても嫌がられないところがほとんどです。駅の南西口側にある(tefu) loungeは、仕事や勉強、読書に使う前提の「まちのラウンジ」で、上の階には個人ブースを借りるプランもあります。
そこから数分歩くと、一気に古くてこぢんまりした雰囲気になります。喫茶店のような小さな店や、個人でやっている焙煎所。窓際の席に座ったら、気づけば午前中が終わっている。そういう店です。
おすすめは、1軒を「自分のオフィス」に決めてしまわず、2、3軒を回すこと。
明るくて広い店は長い作業に、小さな店は読み物や書き物など、タブをたくさん開かなくていい作業に使う。これだけで、かなり過ごしやすくなります。
通話は別に考えてください。明るい店だからといって、通話してよいとは限りません。話す予定があるなら、通話できる席やブースを先に確認しておきましょう。たとえば(tefu) loungeの個人ブースを使う場合も、通話してよいかを先に確かめてください。
東京のどこでも同じですが、暗黙のルールには気をつけたいところです。狭い店が混んできたら長居しない。長くいるなら追加で注文する。何時間も居座る前に、店の様子を見る。
どうしても静かな環境や安定したビデオ会議の設備が必要なときは、渋谷が電車で数分です。コワーキングがたくさんあります。
ふだんは下北沢で作業して、きちんとした打ち合わせは渋谷で。この組み合わせはかなり使えます。
食事と日々の用事

食事も、この街のひそかな強みです。
小さくて安い店が本当に多いんです。下北沢といえばのカレー屋、気軽な居酒屋、ラーメン屋、パン屋。いろいろな国の料理を出す店も増えています。
個人の小さな店が多いので、混んでいる店に入ってみれば、それほどお金をかけずにおいしいものが食べられます。いちばんお得なのは、たいていランチセットです。
日々の買い物にも困りません。コンビニと小さなスーパーで必要なものはそろいますし、古着屋やクラフトの店が並ぶので、ちょっとした買い出しも散歩気分で出かけられます。
街はほとんど歩いて回れる広さです。ここに住んだ人が、思っていたよりずっと歩いていることに気づくのは、たぶんそのせいでしょう。
交通と回線

交通の便は心配いりません。主要な私鉄が通っていて、渋谷や新宿方面へは電車が速く、本数も多い。
ミートアップもコワーキングも取引先の訪問も、ほかの街に行くことが多い人にとっても、下北沢は住みやすい場所です。
スマホの電波もどこでも安定しているので、カフェを移りながらテザリングで作業するスタイルでも、まず困りません。
前もって考えておきたいのは、住まいのことくらいです。
下北沢は人気があるわりに物件が少なく、短期・中期の滞在先は取り合いになりがちです。安いとも限りません。
1ヶ月以上ここで暮らすなら、早めに探し始めて、場所にはあまりこだわらないほうがいいです。小さな街なので、数分外側に出るだけでぐっと安くなることが多いですし、下北沢のいいところには、それでも全部歩いて行けます。
向いている人
下北沢が合うのは、きれいに整っていることや予定どおりに進むことより、街の味わいや人とのつながりを大事にしたいノマドです。
住む街にはっきりした個性がほしい人。ガラス張りのビルより、味のある店で働きたい人。ノートPCを閉じたあとも楽しい街がいい人。都心からこの近さで、下北沢以上の街はなかなか見つかりません。
反対に、静かで広い、会議向きのワークスペースが何より大事なら、ここは「オフィス」ではなく「拠点」として使うことになります。
どちらにしても、一日に少し余白をくれる街です。
まだ拠点を決めかねているなら、下北沢を、よく知られた都心のエリアと並べてみるのが早いです。東京のエリア比較では、主要7エリアを費用・交通・ワークスペースで比べていて、下北沢も追加枠の表で同じ基準で並べています。
よくある質問
下北沢はカフェ作業に向いていますか。
向いています。特に午前中と、ランチどきを外した時間帯です。ただ、大きくて静かなワークスペースより、小さくてにぎやかなカフェが中心です。くだけた雰囲気でも作業できて、通話の多い日は近くのコワーキングも使える人に合います。
都心からどれくらいですか。
渋谷からは京王井の頭線で数分、新宿へは小田急線で一本です。そこから先も、乗り換えですぐにつながります。
滞在費は高いですか。
人気があるわりに物件が少ないので、短期・中期の住まいは取り合いになりがちです。早めに探し始めることと、駅から数分離れてもいいと考えておくことで、予算はだいぶ楽になります。