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リモートワーカーのための清澄白河ガイド、倉庫街がコーヒーの街になった理由

焙煎機の冷却トレーに流れ出る焼きたてのコーヒー豆

仕事の一日がコーヒーと静けさで回っている人なら、清澄白河はたぶん東京でいちばん過ごしやすい街です。

場所は江東区、隅田川の東側。半蔵門線で大手町から8分ほどで、都営大江戸線も通っています。地下鉄は2路線、建物は低く、空が広い。運河があるせいか、都心からこれだけ近いのに通りは不思議なくらい落ち着いています。

おもしろいのは、人が集まりはじめたきっかけです。倉庫なんです。

倉庫街がコーヒーの街になった理由

このあたりは、もともと物を置いておくための街でした。材木問屋、小さな工場、それに水運の街には欠かせない倉庫。

そうした産業が細ったあとに残ったのが、天井が高く、床が丈夫で、しかも安い大きな建物でした。

コーヒーの焙煎所がほしいのは、まさにこういう場所です。都心から地下鉄で数駅の範囲だと、ほかではまず見つかりません。

それでロースターがやって来て、少しずつ増えていきました。やがてアメリカの有名なロースターが日本一号店をここに出して、コーヒーの街という評判がすっかり定着します。

街がリモートワークに向くのは、たいてい偶然です。その場所を安くしていた条件が、そのまま居心地のよさになっていたときに起きます。

いま歩いてみると、個人の焙煎所が歩いて回れる距離に点々とあります。工場や倉庫を改装した店が多く、東京のふつうのカフェよりずっと広い。

じつは、この広さのほうがコーヒーそのものより効いてきます。

実際に働く場所としてどうか

決め手は広さです。

東京のカフェはたいてい小さくて、小さい店がノートパソコンに慎重になるのは当然のこと。清澄白河の倉庫を改装した店には余裕があるので、そのぶんこちらも気兼ねが少なくて済みます。

とはいえ、オフィスとして作られた場所ではありません。大きな共有テーブルがあって、自然光がよく入り、1〜2時間座っているととても気持ちいい。それくらいに考えておくのがちょうどいいです。

壁一面にコンセント、は期待しないでください。ある店もあれば、あえて置かない店もあり、混む時間帯のパソコン利用について丁寧な貼り紙を出している店もあります。

おすすめは、ここを「午前の街」と割り切ることです。

早めに入って、静かなうちに集中する作業を1ブロック片づけて、週末の人出が来る前に引き上げる。

平日の午前は本当にいいですよ。週末の午後は行列です。

もっと長く作業したい日は、ほかの街のコワーキングで一日過ごすか、近くの図書館や公共施設を組み合わせてください。江東区は公共施設が充実していますし、どの街でも、いちばん当てにできる席はやっぱり公共スペースです。

清澄庭園を仕事の合間に使う

清澄庭園の池。大きな庭石と青いアジサイ、水辺に建つ木造の涼亭

清澄庭園は駅から数分。ほかのコーヒーの街ではなくここを拠点にする理由として、いちばん現実的なのがこの庭園です。

大きな池をぐるりと回る回遊式庭園で、水面には飛び石が渡され、一周すると15分から20分ほど。入園料はわずかで、東京で気分を切り替える手段としてはかなりお得なほうです。

うまく回りやすいのは、2時間集中して、庭園を一周して、机に戻るというリズム。

散歩コースは、仕事の役に立つわりに軽く見られがちです。ただ歩けるだけの道より、きれいで歩きたくなる場所のほうが、実際に足が向きます。

庭園を出ると深川のエリアが続いていて、お寺や小さな神社、昔ながらの下町の町並みが残っています。行き先を決めずに歩いても、何かしら見つかります。

東京都現代美術館も歩いて行ける距離なので、雨の日の予定もずいぶん立てやすくなります。

食べることと、日々の生活

古い下町なので、食べ物は流行りより昔ながらの店が中心です。

名物は深川めし。あさりをごはんと合わせた料理で、長く続く店が近くに何軒かあります。一度は食べておきたいところですし、値段も手頃なので気軽に試せます。

ほかは、東京の東側らしい頼れる顔ぶれです。立ち食いそば、小さな居酒屋、商店街、11時に開けてごはんがなくなったら閉める家族経営の定食屋。

スーパーもコンビニも十分にあり、日用品のためにわざわざ遠くへ出る必要はありません。

そのかわり、夜遅くまでにぎやかな街ではありません。店じまいは早めです。この街に住むなら、そこは引き換えだと思っておいてください。

家賃と、拠点としての条件

江東区の家賃や短期滞在の相場は、西側の似たようなエリアより安めなことが多いです。ただ、値段の情報はいつも動いているので、目にした数字はうのみにせず、必ず確かめてください。

移動の便もいいです。半蔵門線なら大手町、神保町、渋谷へ乗り換えなし。大江戸線なら六本木、新宿、月島方面へぐるっと回れます。クライアントに会いに行く用事があっても、東京で本当に遠い場所はほとんどありません。

夜が静かなのも、欧米の時間帯に合わせて通話する人にはありがたいところ。建物は低く、住宅街で、22時を過ぎると街の音もあまりしません。

弱点も正直に書いておきます。夜遊びの街ではありません。英語圏のノマドコミュニティも渋谷や中目黒ほど大きくありません。ふらっと人と出会いたいなら、そのために電車に乗ることになります。

1か月以上いるなら、この静けさはたいていプラスに働きます。5日間の旅で人に会いたいなら、たぶん物足りないでしょう。

拠点をまだ決めかねているなら、ほかの候補と並べてみるのが早いです。東京のエリア比較では、7エリアを費用・交通・ワークスペースで比べています。

よくある質問

東京での最初の滞在先として清澄白河はどうですか

観光地から少し外れていても気にならず、静かさを大事にしたい人なら、十分いい選択です。初めての東京で何でも歩いて行ける場所がいい人は中心部を選びがちですが、ここは地下鉄の便がいいので、そこまで不便は感じません。

カフェで一日中働けますか

それを前提にしないほうがいいです。午前中に集中して作業して、残りはコワーキングや図書館、ワークブースへ移る。このほうがお店にも無理がかからないし、結局仕事もはかどります。

蔵前とはどう違いますか

雰囲気も近く、場所も近いです。どちらも静かで、川のそばで、昔の産業の跡に育った街。蔵前はものづくりやデザイン寄り、清澄白河はコーヒーと緑寄りです。大江戸線で3駅、歩いても35〜40分ほどなので、正直どちらかに絞る必要はありません。