Work & Stay

東京のいい街は、有名な駅の一〜二駅先にある

小さな商店が並ぶ、東京の住宅街の趣ある細い路地

東京に来た初日に、知っておいてほしいことがあります。住むのにいちばんいい場所は、たいてい「みんなが話題にする街」から各駅停車で一〜二駅先にある、ということです。

家賃は安めのことが多く、毎日が過ごしやすい。街も、作りものっぽさがなく、ちゃんと人が暮らしている場所に感じられます。

これを高い授業料を払って知るノマドは少なくありません。最初の一か月を、あの大きな交差点のすぐそば、巨大スクリーンの下の喧騒のなかで過ごすと、9日間くらいはワクワクします。

でもそのあとは、ただうるさくて、高くて、なんだか寂しい。百万人が通り過ぎていくのに、誰もそこに住んでいない街の寂しさです。

数駅先へ移ってみると、東京が「ここなら腰を落ち着けられそう」と思える場所に変わっていきます。

ポストカードの街は、東京が“演じている”場所。一駅隣の街は、東京が“暮らしている”場所です。

というわけで、拠点にする価値のある5つの街と、それぞれの地味だけど確かないいところを紹介します。

下北沢:クリエイティブな仕事と、ゆっくりした午後

渋谷から6分なのに、まるで別の世界です。車が入れないほど細い路地に、古着屋、小さな劇場、こだわりの強い(いい意味で)コーヒー店。誰もそんなに急いでいません。

落ち着いていて、ちょっと刺激もある環境で仕事をしたい人に向いています。知らない人と普通に話せてしまう、東京では珍しい街でもあります。ただ、節約したくて選ぶ街ではありません。人気があって物件も少ないので、短期の滞在は安くないんです。下北沢は、家賃より街の空気で選ぶ場所です。

高円寺:安くて個性的

下北沢がボヘミアンなら、高円寺はパンク。しかも本人たちはそれが誇りです。天井まで積み上がった古着、地下から漏れてくるライブの音、渋谷のカクテル一杯より安く一晩飲める居酒屋。

毎年8月には、東京でも指折りの阿波踊りがあります。ちょっと荒っぽいところもありますが、そこがまたいいんです。

お金はあまりかからないのに、街にはちゃんと活気がある。ひとつだけ注意があって、土日祝は中央線快速が高円寺に止まりません。各駅停車の総武線に乗ってください。

蔵前:川沿いで集中できる

昔の問屋の建物が、クラフトのアトリエやシングルオリジンの焙煎所、デザインショップに生まれ変わっています。隅田川までは歩いてすぐ。都心にはない静けさがあって、仕事をしっかり進めたい人にとっては、高速Wi-Fiよりこの静けさのほうがありがたいはずです。

本気で集中したい日には、まずここをおすすめします。

谷中:昔の東京で、ひと息つく

谷中には、戦争やバブルで何もかもがガラス張りに建て替わる前の、東京の姿が残っています。木造の家、次々に現れるお寺、まったく人を気にしない猫たち。商店街には、ひと時代前のゆったりした時間が流れています。

新しいものだらけの東京に少し疲れた日に行くと、気持ちがすっと落ち着きます。

中野:新宿に近くて、家賃は手頃

堅実で、ちょっと穴場的にお得な選択肢です。新宿から一駅なので交通の便はそのまま。それでいて家賃は下がり、街の雰囲気もぐっと人間味が出てきます。

中野ブロードウェイは日本のサブカルの宝庫で、まわりには安くておいしい店がたくさんあります。都心並みのお金を払わずに、立地のよさと街の個性が手に入るんです。

どう選ぶか

名前が有名かどうかより、自分の仕事と暮らしに何が必要かで選びましょう。

  • 深い集中と静けさ:蔵前、谷中
  • クリエイティブな熱とコミュニティ:下北沢、高円寺
  • 個性つきで最安:高円寺
  • 接続性+値ごろ:中野

ただ、これ全部よりも大事なことがひとつあります。毎日使う路線と、コワーキングやいつものカフェに近いかどうかです。

どんなに好きな街でも、出かけにくければ、普段の動きに合った地味な街に負けます。これは毎回そうです。

街は、訪れるだけでは手に入りません。その街で少しだけ“いい意味で退屈”になることで、自分のものになります。

有名な街から数駅離れて住む

やり方は簡単です。有名な街を調べて、そこから出ている各駅停車の路線を見つけ、一〜三駅先に拠点を取る。

最初の一週間は融通のきく短期の宿に泊まり、上の5つのうち2つを歩き回ってみてください。自分の働き方やお金の使い方に合う街がわかったら、一か月の契約を結べば大丈夫です。

住む価値のある東京は、ポストカードには載っていません。一駅隣で、“行きつけ”ができるくらい長くいる人を待っています。

ここで挙げた街を、もっと名前の知られたエリアと比べたいなら、東京のエリア比較で主要エリアを費用・路線・ワークスペースで比べています。